この記事では、香料におけるフレーバーとフレグランスの違いについて解説します。
結論を言うと、フレーバーとフレグランスの違いは口に入るかどうかです。
香料は菓子・清涼飲料水のような食品に使われる”フレーバー”と、化粧品・柔軟剤・香水のような香粧品に使われるフレグランスに分けることができます。
この記事を読めば、”フレーバーとフレグランスの違い”はもちろん、”それぞれの香料の用途”についてもわかります。
わかりやすく解説するので、ぜひ最後までお読みくださいね!
この記事で解説するのは、”香料”におけるフレーバーとフレグランスの違いです。
コーヒーではまた別の意味で用いられます。
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フレーバーとフレグランスの違いは”口”に入るかどうか
まずはじめに香料についてカンタンに説明します。
香料は、天然香料や合成香料がありますが、これらを混ぜることで調合香料ができます。
そして、この調合香料はさらにフレーバー(食品香料)とフレグランス(香粧品香料)に分けることができます。
フレーバーに使える香料とフレグランスに使える香料は共通のものもあれば、異なるものもあります。
それぞれの化合物を覚えるのは大変なので、ざっくりつぎのように覚えておきましょう。
フレーバーとフレグランスの違いは”口に入るかどうか”。
たったこれだけなんです。
例えば、アイスは口に入れますよね?
口に入れても安全な香料は”フレーバー”です。
一方、柔軟剤を飲むことはありませんよね(笑)
口に含まない商品に使われる香料は、”フレグランス”になります。
それでは問題です。
歯磨き粉に使われる香料はフレーバーでしょうか?フレグランスでしょうか?
わかりましたか?
正解は・・・
フレーバーです!
えっ、なんで?!
歯磨き粉は口に含みますよね?だからフレーバーです。
間違いやすいので注意してくださいね。
同じように、マウスウォッシュ製品やたばこに使われる香料も、やはりフレーバーです。
フレーバーの定義は?もう少し本格的に知ろう
フレーバーは、口に入る香料であることを説明しました。
実は、もう少しむずかしい定義があります。
フレーバー(食品)用の天然香料は、食品衛生法によりつぎのように定義されています。
「動植物から得られたもの又はその混合物で、食品の着香の目的で使用される添加物」
(食品衛生法第4条3項より)
フレーバーは主に食品に”香りをつける(着香・賦香する)”ことを目的としています。
賦香・・・”ふこう”と読みます。
逆に言うと、香りをつける目的以外には使用してはいけないということになります。
さて、フレーバーそのものに”味”はありません。
- 味・・・甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5種類
- 近年注目されている脂肪味も合わせると6種類
わたしたちは”いちご味”のお菓子を食べる時、”味”としていちごを認識していると思うかもしれませんが、実際は違います。
”いちご”を”いちご”と感じるのは、いちごの香りを鼻で感知しているからです。
試しに何でも良いので食品を鼻をつまんで食べてみてください。
おそらく、香りが全然感じられなくなると思います。
そして、鼻をつまんだ手を離すと・・・また香りを感じられるでしょう。
このように、香りこそが”イチゴらしさ”を感じさせてくれるんです。
これを風味や香味のように呼ぶことがあります。
アメリカでは味も含めてフレーバー扱いです。
日本では、あくまで”食品に香りをつけるための香料”をフレーバーと定義しています。
フレーバーにはどんな種類があるの?
フレーバーの開発をするにあたって、目的の食品の香りを調べる必要があります。
ここでは、どのような種類があるかカンタンに説明します。
柑橘類(シトラス)
シトラスはミカン科ミカン属の常緑低木or高木です。
- レモン
- オレンジ
- ライム
- グレープフルーツ
- ユズ
などさまざまな種類があります。
酎ハイなどでもレモン味などがあるように、シトラス香料は人気がありますよね。
ところで、シトラス(柑橘)の”におい成分”ってどこに多く含まれているかご存知ですか?
例えば、レモンやオレンジなどは”外果皮(フラベド)にある油胞に、”におい成分”が含まれます。
外果皮(フラベド)とは、要するに”色のついてる皮の部分”と思ってください。
内側の中果皮(アルベド)は白い海綿状の部分です。
香り成分は含まれていません。
トロピカルフルーツ
トロピカルフルーツは、熱帯から亜熱帯地方にかけて分布する果樹のことを言います。
- マンゴー
- バナナ
- パイナップル
トロピカルフルーツのフレーバーもシトラスほどではありませんが、需要があります。
例えば、マンゴー味のアイスが季節限定で発売されること、多いですよね。
ソフトフルーツ
シトラスやトロピカルフルーツ以外のフルーツを”ソフトフルーツ”と言います。
- イチゴ
- モモ
- メロン
- ブドウ
- リンゴ
など種類はさまざまです。
この記事では、それぞれのフルーツの”におい成分”について説明しませんが、各フルーツに特徴的な香り(特徴香)があります。
バニラ
バニラは、ラン科バニラ属の蔓(つる)性の植物です。
バニラと聞けば、アイスのバニラ味やバニラビーンズを思い出すでしょう。
意外かもしれませんが、バニラそのものは”におい”がしません。
キュアリングと発酵過程を経ることではじめて、甘くておいしい香りを漂わせます。
シュークリームなどに使われるバニラビーンズのツブツブは、黒く発酵したバニラビーンズから取れますよ。
余談ですが、バニラビーンズは近年高騰しています。
マダガスカル産のバニラビーンズは高級品として名高いですが、たった1本で1000円以上することも・・・!!
コーヒー
コーヒーは、アカネ科コーヒーノキ属の高木の実の種子から作られます。
世界三大嗜好飲料のひとつであるコーヒーは人気の高いフレーバーです。
焙煎の仕方ひとつで、香りが大きく変わりますよね。
コーヒーの香気成分はとても複雑で、1000種類近い香気成分が報告されています。
未だ明らかになっていない香気成分も多いです。
コーヒーは好きですが、分析は大変でしたね・・・。
また、単一化合物でコーヒーの香りを想起させるものは”無い”と言われています。
他にも茶類やチョコレート、ミントなどなど・・・さまざまなフレーバーがあります。
調香師(フレーバリスト)が日々研究開発に奮闘していますよ!
フレーバーの形態は4種類
フレーバーには大きくわけて4種類の形態があります。
- 水溶性香料
- 油溶性香料
- 乳化香料
- 粉末香料
表にまとめたので、読んでみてくださいね。
種類 | どんな香料か? | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
水溶性香料 | フレーバーを水溶性溶剤である水、含水エタノール、PG(プロピレングリコール)などに溶解させた香料 | 口に含むとすぐに香りが広がりやすい | 飲料・アイスなど |
油溶性香料 | フレーバーを油溶性溶剤である植物油などに溶解させた香料 | 耐熱性があるので、加熱しても香りが残りやすい | 焼き菓子・キャンディ・ガムなど |
乳化香料 | 油溶性香料を乳化剤を用いて水に分散させやすくした香料 | スポドリなどに”濁り”を出したり、着色することも可能 | スポーツドリンク・果汁飲料など |
粉末香料 | 油溶性香料を乳化し、さらにデキストリンなどの賦形剤(ふけいざい)を加えて、スプレードライヤー法で乾燥した粉末状の香料。 | におい成分が賦形剤でコーティングされており、安定性に優れる | スナック菓子のパウダー・粉末スープなど |
フレーバーの用途・使われ方
開発されたフレーバーがどのように使われるかカンタンに解説します。
飲料
代表例は大きく分けて以下の3つです。
- 炭酸飲料(フルーツ系飲料、ハーブ系飲料、栄養ドリンク、ノンアルコール系)
- 非炭酸飲料(果実ジュース、野菜ジュース、コーヒー、スポーツドリンク、栄養ドリンク)
- アルコール飲料(発泡酒、低アルコール飲料など)
炭酸飲料の例は、コーラやジンジャーエールなどが挙げられます。
コーラはレモン・ライムなどのシトラス系とナツメグ・シナモンなどの
スパイス系の香りをうまくMixした香りなんですよ。
非炭酸飲料としてはジュースなどの他に、コーヒーや栄養ドリンクなどさまざまな種類があります。
菓子
菓子類のフレーバーは、目的とする香りをつけるために利用されますが、それ以外の用途もあります。
風味をアップさせたり、好ましくない香りをシャットアウトする”マスキング”の役割を果たすことも多いです。
菓子は加熱することもあるので、耐熱性のあるフレーバーが求められることが多いです。
冷菓(アイス)
アイスは低温であることから、香りが立ちにくいです。
そのため、においの立ちあがりの強さ(力価)を大きくする必要があります。
具体的には、”原料を多めに使う”、”フレーバーの添加量を増やす”などして対策します。
歯磨き粉
歯磨き粉のフレーバーは清涼感・爽快感・清潔感などが求められます。
歯磨きは毎日行うものなので、良くも悪くも”飽きない風味”にすることが重要です。
原料としてはペパーミント・スペアミントのような精油がよく用いられます。
そして、ℓ-メントールなどの合成香料もバランスよく配合することが多いです。
メントールについては、「【これでわかる!】におい(香り)と化学構造式の関係」でも解説しているので、ぜひお読みください。
煙草(タバコ)
タバコにもさまざまな風味がするフレーバーが利用されます。
kaoriは非喫煙者なので、タバコを”吸った時”の香りはわかりません・・・(あと、苦手です😭)
香料メーカーといえど、フレーバー事業をやっていても、”たばこ”のフレーバーは取り扱っていないことは多いです。
たばこメーカーおよびグループ企業(JT、富士フレーバー)が香料開発チームを持っていますね。
フレグランスとは?
フレグランスは、香水や化粧品などの香粧品に利用される香料です。
フレグランスでは抽象的な(実在しない)香りを求められることが非常に多いです。
- 「満月の夜、海辺でひとり佇んでいるときの香り」
- 「爽やかさ全開!な青春の香り」
人の数だけ答えがありそうな抽象的なイメージですよね?
あと、少しポエミーな気がしますね(笑)
フレグランスは調香師(パヒューマー)が、顧客に求められた香りのコンセプトに沿って香りを作ります。
フレーバーのように”模範”となるものが無いので、よりクリエイティブさがアップします。
一方、フレーバーは、実在する果物やスパイスなどの香りを忠実に再現することが求められます。
もちろん、フレーバーでもイメージ上(ファンシー)の香りが求められることはあります。
たとえば、みなさんもご存知の”ブルーベリーの香り”はイメージ上の香りです(果物のブルーベリーは、ほとんど”におい”がしません)。
フレグランスの用途
フレグランスは私たちの身の回りの製品に多く使われています。
表にまとめたので、参考にしてください。
商品 | 用途 |
---|---|
香水 | 香水、オードトワレ、コロン |
フェイスケア | 化粧品、ローション、ファンデーション |
ヘアケア | シャンプー、コンディショナー、リンス、トリートメント、スタイリング剤、ヘアカラー剤、パーマ剤 |
ボディケア | 石鹸、ボディソープ、ローション、制汗剤、脱毛剤 |
ファブリックケア | 液体洗剤、粉末洗剤、柔軟剤 |
芳香剤 | 室内用、トイレ用、クローゼット用、タンス用、車内用の香材 |
入浴剤 | 液体・固体などの入浴剤 |
洗浄剤 | キッチン用洗剤、洗浄ペーパー、トイレ用洗剤、浴室用洗剤 |
文房具 | におい付き消しゴム、匂いつきの紙 |
おそらくこの記事を読んでいる人は、香水に興味がある方も多いと思います。
香水に関わる記事も書いているので気になるものがあれば読んでみてください。
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フレーバリストとパヒューマーとは?
調合香料は調香師という香りのプロによって作られます。
同じ調香師でも、フレーバーを作る人を”フレーバリスト”といい、フレグランスを作る人を”パヒューマー”と呼びます。
明確に区別されているので、覚えておきましょう。
通常、一人の調香師がフレーバーもフレグランスもどちらも開発することはありません。
基本的にはフレーバーリスト・パヒューマーのいずれかとして専門的に働くケースがほとんどです。
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この記事では、フレーバーとフレグランスの違いについて解説しました。
- フレーバーとフレグランスの違いは”口に入るかどうか”
- フレーバーには、「水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、粉末香料」がある
- フレーバー、フレグランスともに用途がたくさん!
口に入るかどうかだけでフレーバーとフレグランスが分かれるなんて
ざっくりしていますよね(笑)
あなたの身の回りにはフレーバーとフレグランスで満ちあふれていると思います。
商品ラベルの原材料をチェックして”香料”と書かれていないか調べてみてください!
”香料”がいかに多くの製品に使われているかよくわかると思いますよ!
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