この記事では、香料メーカーの仕事について、実際に研究職として4年以上働いていたわたしが解説します。
香料を作る仕事っておもしろそう!けど、実際どんな仕事をするんだろう?
香料メーカー(香料会社)で働いた経験のある人に話をききたいな~
実際に香料メーカーで研究職として働いていた私が解説します!
この記事は、香料メーカーの仕事についてわかりやすく解説します。
香料メーカーって、ふだんの生活であまり名前を聞きませんよね?
それもそのはず。
たとえば、テレビのCMでも香料メーカーがスポンサーとなっていることはなく、メディアへの露出が少ないんですよね。
香料メーカーはBtoBビジネスなので、お客様はわたしたち消費者ではなく企業です。
そのため、香料メーカーの仕事がどのようなものか知る機会はほとんどなく、情報を入手することも非常に難しいです。
一方、香料業界は「キャッチーさ」、「ホワイトな感じがする」といった理由で就活生や転職を考える人に人気が高い業界です。
そんな香料メーカーに興味がある人のために、香料メーカーで研究職として働いていたわたしが仕事内容をくわしく解説します。
まず、どんな職種があるかカンタンに説明しますね。
香料メーカーでは営業などの他に、研究開発職・品質管理職・品質保証職など様々な職種にわかれています。
研究開発職は、基礎研究課・調香研究課・応用研究課などさらに細かく部署分けされます。
この記事を読むことで、香料メーカーの職種や、実際の仕事内容について概要をカンタンに理解できます。
ぜひ最後までお読みください。
香料メーカーの具体的な仕事内容は?職種別に解説
香料メーカーの具体的な仕事内容について職種別に解説します。
*フレーバーを中心に解説します(香料業界はフレーバーのシェアが圧倒的に大きいです)。
営業
営業は、言うまでもありませんが、顧客(食品メーカーなど)に自社の香料を提案します。
必ずしも新規案件ばかりではなく、既存品の改良(リニューアル)の案件も多いです。
リニューアルでは「もう少し○○の香りを強く感じられるようにしてほしい」なんて依頼があったりします。
また、顧客がどのような商品を今後販売していくか、リサーチも必要。
顧客の抱えている課題をヒアリングすることで、調香師に香料のサンプルを開発してもらい提案できるからです。
特にエビデンス(根拠)が求められる案件の場合は、基礎研究課の人が調香師と同行し、詳細な説明(プレゼン)をすることも多いです。
研究開発
研究開発は、さらに細かく分類することができます。
調香研究
調香研究は研究開発職の中でも多くの人員が在籍していることが多いです。
社内での政治力も強いことが多いです(笑)
調香研究では、天然香料と合成香料や溶剤を混ぜて、目的の香りを調合します。
香料にも形状の異なるいくつかの種類があります。
- 液体香料
- 粉末香料
- 乳化香料
液体香料は文字どおり液体の香料です。
イメージとしては”香水”の原液のように思ってください。
粉末香料は、ポテトチップスなどにかかっているような”粉”のことで、シーズニングと呼ばれることもあります。
乳化香料は、油溶性の香料を水に分散するように開発された香料です。
スポーツドリンクのような清涼飲料水に”にごり”を与えたりするのも、この乳化香料が用いられます。
上記で説明した”香料の種類”ごとに担当が異なることもあれば、”お得意様”ごとに専門チームを作り開発することもあります。
どのようなスタイルをとるかは会社次第です。
基礎研究
基礎研究では、香りの不思議を解明したり、香料づくりに役に立つ技術の開発を行います。
- 天然物から新規の香気成分を発見
- 香気成分の新しい分析技術の開発
- 香料の有機合成
- 製品の異臭成分解明
上記のような仕事をすることが多いです。
まだまだ解明されていない微量香気成分は多いです。
香料メーカーで基礎研究の仕事に就ければ、”あなた”が第一発見者になるかも?!
応用研究
香料はどんな生地に対して使うかにより、香りの感じ方が大きく異なります。
生地・・・香料を添加する土台となるもの。
飲み物では水や炭酸水、アルコール飲料(5%)など。
異なる生地に同じ香料を同じ量だけ添加しても、香りの感じ方は変化します。
そのため、香料を提案する前にまず試作する必要があります。
その役割を果たすのが応用研究(アプリケーション)です(※会社により呼び名などは異なります)。
調香師が作成した香料を、炭酸水などに添加(賦香、ふこう)して、その効果を検証します。
飲料水はもちろん、アイスやキャンディなどに香料を賦香します。
そこまで高度な知識は求められないので、求人もたまに見かけます。
品質管理・品質保証
香料の品質に対する関心は、国際的にますます高まっています。
国内メーカーも海外に輸出する機会や、海外に自社工場を持つことが増え、品質確保の重要度は上がっています。
そのような中
- 香料製造時の品質を管理する品質管理
- 販売後の品質を保証(担保)する品質保証
の役割は大きいです。
目立たない存在かもしれませんが、縁の下の力持ちとして品質管理職・品質保証職の人は、とても重要な役割を果たしています。
香料メーカーで働くデメリットは?
香料のお仕事は”華やか”、”キャッチー”、”おもしろそう”などワクワクするイメージがありますよね。
私もはじめはそう思いましたし、実際楽しかったのですが・・・
必ずしも良いことばかりではありません。
それでは、どんなデメリットがあるでしょうか?
- 調香師の仕事は意外に地味!
- においが髪の毛や服について取れない・・・
- 強烈に臭い”におい”も取り扱う・・・
調香師って、なんとなく「華やかな仕事をしているんだろうな~」って思いませんか?
「美人なお姉さんが、お花に囲まれてお仕事をしている・・・」なんて想像をしていたら、それは幻想です。
あなたが思っている以上に、香料作りは地味な仕事です・・・
香料作りのザックリとした流れは実にシンプル。
原料をスポイトなどで量り取り、よく混ぜて、水に加えて評価することを繰り返します。
「え、それだけ?」と思ったかもしれませんが、実際そんなものです(笑)
けど、意外に大変なんですよ・・・。
香料を試作する時は、いくつもの原料を混ぜるのですが、1つでも入れ間違えると最初からやり直しです。
華やかさとはほど遠く、地味で強い忍耐力が求められる仕事であることは理解しておいてください。
また、匂いが衣服や髪につきます。
調香する時は、すごく”くさ~い”原料を使うこともしばしば・・・。
帰りの電車で、「なんか変なにおいするな・・・」という目で見られる可能性もゼロではありません。
香料作りは楽しい反面、このようなデメリットもあることも覚えておきましょう。
香料メーカーで働くメリット・やりがいは?
香料メーカーで働くメリットや”やりがい”を感じる瞬間はどんな時でしょう?
やっぱり、たくさんの人に自分が関わった香りで楽しんでもらうこと✨
おいしさや癒しを提供できたと実感した時、やりがいを感じられました!
大手企業・中小企業に関わらず、香料が採用されると、全国各地にあなたが関わった商品がスーパーの商品棚に並ぶことがあります。
自分が担当した商品が発売されたときは、真っ先に買いに行きますね(笑)
ふだんの生活でも身の回りの”におい”を意識するようになります。
街を歩いているだけでも新しい発見があって、楽しめるかもしれませんよ♪
香料メーカーの使命・求められること
香料は、食品や香粧品など様々な用途に利用されます。
人に”おいしさ”や”安らぎ”などを提供するのが香料の役目です。
この香料を製造し、安定供給するのが香料メーカーの仕事となります。
香料メーカーの仕事に向いている人
当前ですが、少なからず”香り”に興味があることは必須です。
興味が無いことを仕事として続けるのは大変ですからね・・・
- いろんな香りをかぐのが楽しい!
- 香りの仕組みを解明したい!
- 新しい香りをこの世に生み出したい!
どのような理由でも構いませんが、日頃から香りの話題にアンテナを張っている人が香りのお仕事をするのに向いていると思います。
このブログでもフレーバーからフレグランスまで香りに関する情報を発信しています。
ぜひ色々な記事を読んでみてくださいね(^^♪
香料メーカーに向いていない人
香りに興味が無い人は、香料メーカーに向いていないことは言うまでもありません。
また、もし”嗅盲”や”嗅覚障害”があると残念ながら採用は見送られます。
- 嗅盲・・・特定の物質のニオイがわからない先天的な異常のこと
- 嗅覚障害・・・嗅覚の減退や欠如、過敏などの状態
調香・基礎研究・応用研究のどの職種も鼻を使う機会が頻繁にあります。
そのため、嗅覚に異常がある場合は、残念ながら香りの仕事に就くことはむずかしいです。
花粉症でも香りの仕事にはつける?
自分は花粉症だから香りの仕事につけないのかな・・・?
こんな悲しい声が聞こえてきそうですが、花粉症については特に問題ありません。
薬を飲んで収まる程度の花粉症であれば、花粉症を理由に採用が見送られることはほとんどありません。
実際に、わたしの職場でも「花粉症の調香師」はかなりいました。
わたしも花粉症でしたが、採用されましたよ。
しかし、花粉症も人によって症状の重さは異なります。
薬を飲んでも常に鼻水が止まらないなどの症状があるなら、香りの仕事は避けた方が良いでしょう。
調香師はもちろん、基礎研究や応用研究でも鼻は商売道具です。
鼻を使えないとなると、仕事が思うように進まずストレスが溜まってしまうことも。
あなたのためにも、香りの仕事をすることは考え直した方が良いかもしれません。
香料の研究開発で求められる学歴・資格要件は?
私は、基礎研究を行っていたので、研究開発についてもう少しくわしく解説しようと思います。
新卒の場合
新卒なら、香りの知識があまりなくても研究開発職として採用されることは可能です。
研究開発職では、ほとんどの場合、理系学部の四年制大学卒業見込みである必要があります。
また、調香師を養成する専門学校で学んでいる場合は、調香師として採用されることはもちろんあります。
ただ、基礎研究のように高度な化学の知識が求められる職種では、大学院修士課程修了見込みが求められることが多いです。
実際、わたしが入社した会社も研究職は全員大学卒業見込み以上の学歴でした。
調香師であれば、大学卒業見込みでも大丈夫なことが多いです(後述)。
キャリア採用(転職)の場合
香料メーカーに転職したい方は、未経験で香りの仕事に携わるのは少し難しいかもしれません。
基礎研究であれば
- GC(ガスクロマトグラフ)
- GC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析)
- NMR(核磁気共鳴装置)
- HPLC(高速液体クロマトグラフ)
の経験が豊富であれば、香料メーカーの経験が無くても採用される可能性は十分にあります。
しかし、調香師の場合、未経験で転職することはかなり難しいと言えます。
調香師は研究開発職の一つとはいえ、実際は”職人”に近いところがあり、それなりの経験が求められます。
調香師になるためには?資格は必要?
香料メーカーに興味がある人の多くは、調香師に興味があると思います。
そのため、調香師になるために少しでも有利な資格を持っておきたいと思うかもしれません。
しかし、残念ながら調香師に国家資格や公的な資格はありません。
香料メーカーに就職したいなら、理系学部で化学を学んでいたら特に学歴の面では問題ありません。
農学部卒など生物系出身の人も多かったですね。
もし、においに関わる資格を取りたいなら臭気判定士(国家資格)や日本調香技術師検定のような資格はあります。
このような資格を取得して、香りに興味があることを伝えることはできるかもしれませんよ。
いちばんカンタンに取れる資格として、アロマテラピー検定1級・2級があります。
アロマテラピー検定を受験することでも、香りに興味があることを伝えることはできます。
とはいえ、アロマテラピーがそもそもどういうものかわからない人は、ユーキャンで資料請求してみるのも良いと思います。
なぜなら、資料請求するだけで精油サンプルがもらえてアロマテラピーについても概要がわかるから。
もし、必要なら講座を受けてみるのも良いですよ。
アロマテラピー検定1・2級合格をサポート
イマなら精油サンプルがもらえる
※しつこい電話勧誘は一切ありません
たった3分カンタン申し込み
未経験で調香師になれる?
転職を考えている場合、未経験で調香師になれるか気になる人も多いでしょう。
ゼロではありませんが、正直募集が少ないのが現状です。
未経験で募集している場合は、未経験ゆえに現在の年収より下がってしまう可能性が高いことは肝に銘じておきましょう。
しかし、一流の調香師は年収も800万以上と高年収になる可能性も十分にあります。
外資であればなおさらです。
まずは、下積みを経験してから、再び転職活動をしてキャリアを築くのが良いと思いますよ。
香料について学ぶためのおススメの本
せっかくなので香料業界に興味がある人におススメの本を一冊紹介します。
香料業界国内第二位の長谷川香料株式会社が監修した「香料の科学」という本です。
香料に関する知識が網羅されており、香料業界についてザっと理解するにはこの一冊を読んでおけば十分です。
多少化学の知識があればすんなり読めますが、そうでなくても理解しやすい内容です。
ぜひお手に取って読んでみてください。
もし、化学に苦手意識があるなら、「香料の科学」の後に出版された「絵でわかるにおいと香りの不思議」を読んでからでも良いかもしれません。
香りの説明ごとにカンタンなイラストが掲載されているので、「香料の科学」より直観的にわかりやすい内容になっています。
”におい”や”香料”って何?
香料メーカーの仕事に興味をもった”あなた”へ。
そもそも”におい”や”香料”とは何なのか知っておく必要があります。
- におい・・・分子量が350以下の揮発性のある有機化合物
- 香料・・・主に商業目的で製造販売される香気を持った化合物やその集合体
”におい”や香料については、別の記事でも解説しているのでぜひ読んでみてください。
香料は大きく分けてフレーバーとフレグランスの2種類
商品としての香料は、大きく分けて”フレーバー”と”フレグランス”の二種類があります。
”フレーバー”はお菓子などに使われる食品香料、”フレグランス”は柔軟剤などに使われる香粧品香料のことです。
フレーバーとフレグランスの違いについては、「【いまさら聞けない?】フレーバーとフレグランスの違いは”たった1つ”」で詳しく解説しているので参考にしてください。
大手香料メーカーではフレーバーとフレグランスどちらも取り扱っていますが、中小企業ではフレーバーかフレグランス一方しか扱わないところも多いです。
日本国内ではフレーバーが香料の売り上げの8~9割程度を占めています。
フレグランスの市場は全体の1~2割程度しかないため、どうしてもフレーバーを取り扱う香料メーカーが多くなります。
日本と異なり、海外では香りを身につける習慣が強いので、フレグランスの需要はもう少し高いです。
香料メーカーや香りを扱う会社(食品メーカー、化粧品メーカーなど)への就職・転職を考えているなら、フレーバーとフレグランスのどちらに興味があるか予め決めておいた方が良いでしょう。
もし、フレグランスについて興味があるなら、ブランド香水についてある程度知っておくと良いと思います。
いろいろ記事を書いているのでぜひ読んでみてください。
ブランド香水
\人気ランキング/
- アッカカッパの香水おすすめ人気ランキング10選
- アナスイおすすめ香水人気ランキング10選
- イソップ香水おすすめ人気ランキング9選
- ヴェルサーチェのレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- ヴェルサーチェのメンズ香水おすすめ人気ランキング10選
- エルメス香水おすすめ人気ランキング10選
- オゥパラディの香水で人気なのは?
- カルバンクラインの香水おすすめ人気ランキング10選
- キャロライナヘレラ香水おすすめ人気ランキング10選
- クロエ香水おすすめ人気ランキング10選
- サウザンドカラーズおすすめ香水人気ランキング10選
- サムライおすすめ香水人気ランキング10選
- サムライウーマンおすすめ香水人気ランキング10選
- ZARAのレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- ZARAのメンズ香水おすすめ人気ランキング10選
- ジルスチュアート香水おすすめ人気ランキング10選
- SHIRO香水おすすめ人気ランキング10選
- シャネル香水おすすめ人気ランキング10選
- ジョーマローン香水おすすめ人気ランキング10選
- ディオール香水おすすめ人気ランキング10選
- ディプティック香水おすすめ人気ランキング10選
- トムフォード香水おすすめ人気ランキング10選
- ドルチェ&ガッバーナおすすめ香水人気ランキング10選
- バスティーユおすすめ香水人気ランキング6選
- バーバリーレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- バナナとイエロうの香水おすすめ全4種類
- フェラガモ香水おすすめ人気ランキング10選
- プラダ香水おすすめ人気ランキング10選
- メゾンマルジェラ香水おすすめ人気ランキング10選
- ラルチザン パフュームおすすめ香水人気ランキング10選
- ランバン香水おすすめ人気ランキング10選
- ルラボの香水おすすめ人気ランキング10選
まとめ:香料メーカーの仕事は楽しい!ぜひ研究職を目指してみて!
この記事では、香料メーカーの仕事について研究職として働いた経験から解説しました。
香りの仕事は本当に楽しいです。
自分の知らなかった世界がどんどん広がるので、ハマっていく人も多いです。
しかし、それと同時に、地味な努力を継続して行い続ける忍耐力も求められます。
この記事を読んで、香りの仕事に興味をもってくれたら嬉しいです。
大変なことも多いですが、楽しいことはそれ以上にあると思いますよ!
\香料会社への転職を考えている人向け/
》香料の研究職を目指す|【アカリクキャリア】公式サイト\☆人気記事☆/