この記事は、香りやにおいの正体について、化学的視点でわかりやすく解説します。
においって何でできてるの?目に見えないから正体がわからないなぁ・・・
化学と関係ありそうだけど、化学的にはどういう定義がされているんだろう?
そんな疑問にお答えしますね。
においと化学の関係はとても深いです(科学と言ってもよいですが、あえて化学で統一します)。
しかし、学校では”におい”について学ぶ機会はほとんどありませんよね?
”におい”とは化学的には何なのでしょうか?
結論から言うと、においとは”分子量が350以下の揮発性のある有機化合物”です。
- 嗅覚は五感の一つであり、におい物質が鼻に働きかける
- におい分子は分子量350以下の揮発性のある有機化合物であり、”におい”はその集合体
- におい分子の構成元素はたった5つ
この記事を読むことで、”におい”を化学的に理解でき、においの世界への入り口に一歩踏み出すことができます。
ぜひ最後までお読みください。
香りを化学的に理解!においの正体は?
においの正体は、分子量350以下の揮発性化合物(におい分子)です。
- 分子量:分子式(H2O、CO2など)に含まれている元素の原子量の合計
- 揮発性:液体が気化すること(対義語:不揮発性)リスト
じゃあ、揮発性物質はすべて”におい”がするの?
実はそうではありません。
鼻の奥(鼻腔)には嗅細胞という”におい”を感知する細胞がたくさんあります。
におい分子が嗅細胞のポケットに入り込み、「こんな”におい”が来たよ!」という電気信号が脳に送られた場合のみ、”におい”を感じることができます。
このとき、におい分子受容体があると、においをキャッチすることができるんですね。
さて、ここでひとつ例をあげてみます。
たとえば、わたしたち人間は二酸化炭素(CO2)を”におい”として感じません。
なぜなら、CO2を検知するにおい分子受容体が無いからです。
プレーンの炭酸水を飲んで”におい”を感じる人はいませんよね?
一方、蚊はCO2を検知するにおい分子受容体を持っているので、蚊にとってCO2は”におい”がします。
CO2の発生量が多い人ほど、蚊の餌食になる・・・という話を聞いたことがあるかもしれませんが、このような理由があるからです。
つづいて、におい分子について解説します。
におい分子の主な構成元素はたった5つ?!
”におい分子”の主な構成元素は次のとおりです。
- 水素(H)
- 炭素(C)
- 窒素(N)
- 酸素(O)
- 硫黄(S)
118種類ある元素のうち、たった5つの元素が天然に存在する”におい分子”の構成元素なんです。
炭素(C)が有機化合物をつくる能力があるので、ほとんどの”におい分子”は有機化合物でできています。
分子が重くなると揮発性が低くなることも知られており、炭素数は20前後、分子量は350がにおいを持つ上限とされています。(※2)
揮発しなければ、鼻に”におい分子”が届くことはありません。
そのため、分子が軽いことは大事なポイントです。
においに関係する感覚は”嗅覚”
においをさらに理解するために、”五感”について説明させてください。
五感とは、外の世界の情報を知るために利用しているセンサーのようなもの。
「視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚」を学校で習った方も多いと思います。
これが、五感です。
視覚・聴覚のような物理的感覚とは異なり、味覚・嗅覚のような化学信号を受容する感覚を化学感覚(chemical senses)と総称します。
化学物質が舌や鼻腔に到達して初めて”感じる”ので”化学感覚”と言います。
においの元である”におい分子”は、化学的にあなたの嗅覚に働きかけるわけです。
五感は危険を察知するためにある
五感は動物が外界の情報や生命をおびやかす危険を察知し、回避するためにあると考えられています。
視覚による危険の回避について、おもしろい実験があるので紹介します。
白い背景に食パンの形をかたどり、真ん中の色を変化させて被験者の脳の反応を見るという実験(※1)です。
赤・黄色・茶色ではそれぞれ”ジャム”・”バター”・”チョコレート”などを連想し、脳に特に変化はありません。
しかし、色を青緑にするとカビを連想し、途端に脳のある部位が活性化したそうです(なんと、認識速度は数10ミリ秒!)。
五感は「危険から回避するためにある」ことが、よくわかりますね。
カビの生えたパンを食べたら、おなかを壊してしまいますもんね…😭
また、嗅覚はもちろん危険を回避するためにも役に立っています。
“におい”で食べ物が腐っていないか判別することができますよね?
万が一、腐ったものを口に入れてしまったら・・・
食中毒になり、場合によっては生命の危険があります。
”におい”の物理的・化学的な表現方法
自分が感じた”におい”を他人に伝えるのは、とてもむずかしいもの。
伝え方は、次のような方法があります。
- 皆が知っている具体的なモノに例える
- 抽象的な表現を使う
- 物理的・化学的な表現を使う
香料の研究者の場合、物理的・化学的表現をすることもあります
香料メーカーに勤めていると原料そのものを嗅ぐことができ、また構造式も理解しているので化学的な表現を使いやすいですね。
香料については、「【よくわかる!】香料とは?天然香料と合成香料の違い」で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
”におい”の物理的な表現例
”におい”の物理的な表現の例は次のとおり。
- 重い・軽い
- 拡散性のある
- 濃い・薄い
物理的な表現も多くありますが、一般の人にもイメージしやすいと思います。
化学的な表現例
においの化学的な表現の例は次のとおり。
- 酸臭
- 硫黄(S)臭
- アルデヒド様
少し聞きなれない言葉があるかもしれません。
酸臭は酢や納豆などでイメージしやすいと思います(酸臭にも色々と種類がありますが、ここでは詳しく書きません)。
硫黄臭は、温泉から漂う”におい”をイメージするかもしれませんね。
硫黄臭は他にもたくさんありますが、サツマイモの特徴香であるメチオナールという化合物が特に有名です。
酸臭と硫黄臭はなんとなくわかっても、アルデヒド様はどんな”におい”か想像しにくいかもしれません。
例えば次のような化合物がアルデヒドになります。
シンナムアルデヒド(Cynnamaldehyde)は、シナモンの香りがすることで有名です。
もし、香気分析をしていて「シンナムアルデヒドのような匂いがするな~」と思ったら、”シンナムアルデヒド様”というように回答することもあります。
”様”とは”~のような”という意味です。
英語では”-like”で表すことが多いです。
たとえば、「シンナムアルデヒド様=cinnamaldehyde-like」のような感じですね。
もちろん、アルデヒドも数多くの種類があり、それぞれ異なる”におい”がします。
例えば(E)-2-ヘキセナール( (E)-2-hexenal )というアルデヒドは、葉をちぎった時に感じる”グリーン様”の香りがします。
シンナムアルデヒドと(E)-2-ヘキサナールではだいぶ”におい”の質がちがうんですね?
構造式を見てわかるとおり、骨格が違うものはやはり違う”におい”を感じることが多いです。
しかし、似た構造式を持つ化合物は、”におい”の質も似る傾向にあります。
「【これでわかる!】におい(香り)と化学構造式の関係」では、”におい”と構造式の関係性についてさらにくわしく解説しています。
化学をある程度理解している人向けですが、一般の人にもわかりやすく解説したつもりです。
ぜひ参考にしてください。
まとめ
この記事のまとめです。
- 嗅覚は五感の一つであり、におい物質が鼻に働きかける
- におい分子は、分子量が350以下の揮発性のある有機化合物である
- におい分子の構成元素はたった5つ
- 香料の研究者は化学的な表現もよく使う
あなたが少しでも香りに興味を持ってくれたらウレシイです。
参考文献
\☆人気記事☆/
ブランド香水
\人気ランキング/
- アッカカッパの香水おすすめ人気ランキング10選
- アナスイおすすめ香水人気ランキング10選
- イソップ香水おすすめ人気ランキング9選
- ヴェルサーチェのレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- ヴェルサーチェのメンズ香水おすすめ人気ランキング10選
- エルメス香水おすすめ人気ランキング10選
- オゥパラディの香水で人気なのは?
- カルバンクラインの香水おすすめ人気ランキング10選
- キャロライナヘレラ香水おすすめ人気ランキング10選
- クロエ香水おすすめ人気ランキング10選
- サウザンドカラーズおすすめ香水人気ランキング10選
- サムライおすすめ香水人気ランキング10選
- サムライウーマンおすすめ香水人気ランキング10選
- ZARAのレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- ZARAのメンズ香水おすすめ人気ランキング10選
- ジルスチュアート香水おすすめ人気ランキング10選
- SHIRO香水おすすめ人気ランキング10選
- シャネル香水おすすめ人気ランキング10選
- ジョーマローン香水おすすめ人気ランキング10選
- ディオール香水おすすめ人気ランキング10選
- ディプティック香水おすすめ人気ランキング10選
- トムフォード香水おすすめ人気ランキング10選
- ドルチェ&ガッバーナおすすめ香水人気ランキング10選
- バスティーユおすすめ香水人気ランキング6選
- バーバリーレディース香水おすすめ人気ランキング10選
- バナナとイエロうの香水おすすめ全4種類
- フェラガモ香水おすすめ人気ランキング10選
- プラダ香水おすすめ人気ランキング10選
- メゾンマルジェラ香水おすすめ人気ランキング10選
- ラルチザン パフュームおすすめ香水人気ランキング10選
- ランバン香水おすすめ人気ランキング10選
- ルラボの香水おすすめ人気ランキング10選