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ラベンダーはどんな香り?効果効能や精油についてくわしく解説!

ラベンダーはどんな香り?効果効能や精油についてくわしく解説!
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この記事では、ラベンダーはどんな香りであるか、香料メーカーの元研究職がくわしく解説します。

冬には冷たいミストラル(北西風)が吹き荒れる、標高800メートル以上の石灰岩だらけの過酷な環境の中で、野生のラベンダーは力強く花を咲かせます。

こうした高地に自生していたラベンダーを、放牧に来た羊飼いが刈り始めたのが始まりといわれています。

プロヴァンスの奥にある「ヴァントゥー山」を中心とする一帯は、野生のラベンダーの生育地であり、この山を中心した一帯は、真正ラベンダー畑が広がる地域でもあります。

6月中旬から8月下旬に南仏プロヴァンスを走る車は窓を開け、広大な畑一面に咲くラベンダーの香りを運ぶ風を楽しみます(※3)

洗練された甘みのあるフローラル系の香りと、暮らしに取り入れやすい効果効能を持った、アロマテラピーの代表的精油「ラベンダー」について、くわしく解説します。

この記事を書いた人
kaori_香りハピネス
kaori
  • 香りや臭いのブログ「香りハピネス」管理人
  • 香料メーカーの元研究職
  • 肌にのせたことのある香水は数百種類以上
  • 旧帝大院卒(修士課程修了)
  • アロマテラピー検定1級
  • プロフィールはこちら
目次

ラベンダーはどんな香り?

ラベンダー 花
悩み人

ラベンダーってどんな香りかな?
香りの表現を知りたい…

ラベンダーは、その種類によって香りの成分や嗅いだときの印象が異なることは、先に解説したとおりです。

ここでは、代表的な品種である真正ラベンダーの香りについてご紹介します。

真正ラベンダーの香りは、花のようなフローラルな印象もありながら、ハーブらしい清涼感をあわせ持つ香りです。

優しさの中に力強さを秘めた心地よい香りは、身体や心にさまざまな効果効能をもたらせてくれます。

主な成分である「酢酸リナリル」「リナロール」は、ともに鎮静作用があります。

「酢酸リナリル」はベルガモットのような香りがあり、ドーパミンやアドレナリンといった神経を興奮させる伝達物質を抑制する物質「セロトニン」の分泌を誘発するとのこと(※2)。

気持ちの高まりや興奮が抑えられ、リラックスや安眠の必要条件である副交感神経が優位になる手助けをしてくれます。

また、「リナロール」は、ローズウッドやクロモジにも多く含まれているんですよ(フローラルな香りがする花を分析すれば、リナロールはほぼ検出されますが…)。

フローラルでフルーティーな甘さと穏やかさを感じる香りで、抗不安や抗炎症作用が期待できます。

ラベンダーとは?

原料植物名ラベンダー(真正ラベンダー)
別名トゥルーラベンダー、ラベンダーフランス、イングリッシュラベンダー、コモンラベンダー
科名シソ科
学名Lavandula angustifolia /L.officinalis/L.vera
おもな産地フランス、イギリス、イタリア、ブルガリア、日本、オーストラリア
主な抽出部位花・葉
抽出方法水蒸気蒸留法
成分例酢酸リナリル、リナロール、cis-β-オシメン、trans-β-オシメンなど
ラベンダーの基本情報(※5

ラベンダーはたくさんの種類があり、その香りや効能にも個性があります。

一般的にラベンダーを指す真正ラベンダーと比較しながら、アロマテラピーに用いられる主な種類をご紹介します。

真正ラベンダー(トゥルーラベンダー)

一般的にラベンダーは、真正ラベンダーのことを指します。

花のようなフローラルな印象もありながら、ハーブらしい清涼感をあわせ持つ穏やかな香りが特徴です。

真正ラベンダーに多く含まれる酢酸リナリルやリナロールは、リラックスモードを生み出す副交感神経を刺激するとされ、非常に高いリラックス効果があることが実証されています(※1)。

地中海沿岸やオーストラリア、ニュージーランド、イギリス、南米など世界のさまざまな地域で栽培されていますが、南仏プロヴァンス産が最も良質とされており、世界で唯一この地方の政府による品質保証AOPの制度があります。

スパイクラベンダー

真正ラベンダーより少し背の高い植物で、リナロール、1,8シオネール、カンファー(ローズマリーに多く含有される成分で樟脳とも呼ばれる)を含み、香りはラベンダーらしい甘さと突き抜けるようなクリアさをあわせ持つ印象です。

真正ラベンダーの優しい香りと比較して「男のラベンダー」とも呼ばれています。

カンファーには抗ストレス作用があり、心に活力を持たせたいとき、リフレッシュしたいときに効果的です。

また肩こりや腰痛などの鎮痛作用もあります。フランス、スペインが原産地です。

ラバンジン

ラバンジンは、真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種で、その混ざり方によって数種類に分けることができます。

酢酸リナリルとリナロール、カンファー、1,8シネオールを含み、真正ラベンダーよりキリっとした少し刺激のあるハーブ調の香りで、頭をスッキリさせたり、リフレッシュさせたりする効果があります。

鎮痛作用や呼吸器への作用は、真正ラベンダーよりラバンジンのほうが適しています。

地中海を中心としたヨーロッパで栽培されています。

フレンチラベンダー

花穂の上のウサギの耳のような苞葉(変形した葉の一部)が特徴のフレンチラベンダーは、真正ラベンダーとは違った、すっきりとしたハーバルな香りが特徴です。

主な成分はフェンコン、カンファーで、リフレッシュしたいときや虫除けなどに効果があります。

神経に毒性のあるケトン類を多く含むため、てんかん発作や流産を引き起こすことがありますので、注意が必要です。

一方、鎮痛・消炎作用や血行促進作用もあり、肩こりや腰痛に有効な成分でもあります。

地中海沿岸を中心に広く自生しています、

ラベンダーの効果効能・生理・心理効果

真正ラベンダーに含まれる成分やその役割について、解説してきました。

ここではその効果効能や生理効果、心理効果について、具体的に紹介します。

効果効能

古代ローマでは洗濯や傷口の洗浄、沐浴や水浴にラベンダーが用いられていたことから、早くからその殺菌・抗菌作用が注目され、日常の生活に取り入れられていました。

近代でも、外用殺菌消毒薬として、切り傷ややけどなどの治療に用いられていました。

このほか、筋肉痛や肩こり、頭痛や月経痛、喉の痛みを緩和したり、日焼け、肌荒れ、かゆみ、虫刺されなど皮膚の炎症を鎮め、再生を早めたりする効果があります。

またその効能から、数多くのスキンケア用品にも用いられています。

生理的効果

真正ラベンダーの主成分「酢酸リナリル」には、痛みを緩和する鎮痛作用もあります。

痛みを感じるのは人間の脳です。

香りは最終的には脳に作用するため、この働きを利用して痛みの緩和や痛みによる精神的苦痛を和らげることができます。

ある実験でこの効果が実証されています(※4)。

メディカルアロマテラピーとして、早くから用いられてきたラベンダーですが、近年でもその成分の研究が続けられ、医療だけでなく、精神的ケアや抗うつなど、さまざまな場面で活かせる効果効能が報告されています。

心理的効果

先にご紹介したとおり、真正ラベンダーに多く含まれる酢酸リナリルやリナロールは、脳内の興奮物質であるドーパミンやアドレナリンを抑えるセロトニンの分泌を促し、リラックスモードを生み出す副交感神経を優位にする働きがあります。

気分を安定させ、非常に高いリラックス効果があることが実証されていて、心の不調や不安を緩和する抗不安作用も期待されるんですよ。

真正ラベンダーの効果として一般的に知られている睡眠・安眠作用は、脳内でセロトニンの分泌を誘発する作用によるもの。

香りが心をリラックスさせ、健やかな眠りへと導いてくれます。

ラベンダーの精油と使い方

ラベンダー 精油

ラベンダー精油の使い方や、暮らしへの取り入れ方についてご紹介します。

リラックスしたいとき、ぐっすり眠りたいときに

ラベンダーのリラックス効果を気軽に取り入れたいときは、アロマスプレーが便利。

リビングや寝室にスプレーするだけで、心が落ち着くラベンダーの香りが広がり、その効能を気軽に取り入れられます。

眠る前に枕にスプレーすれば、脳が香りを感知し、深い眠りにいざなわれるかも…。

本格的にアロマディフューザーやアロマストーンを使えば、スプレーよりも長く香りを楽しめます。

また芳香浴も気軽に効能を取り入れる方法のひとつ。

ハンカチやタオル、またはティッシュペーパーに1、2滴を垂らして、その香りを目を閉じて深呼吸しながら嗅いでみてください。

香りに含まれる有効成分が吸入され、リラックス効果が期待できますよ。

痛みを和らげたいときに

ラベンダーにはリラックス効果のほかにも、痛みを和らげる鎮痛の効果があります。

その効果を手軽に取り入れるなら、ラベンダーのハーブティーがおススメです。

生のラベンダーなら大さじ2、ドライなら大さじ1に熱湯を注ぎます。

1杯だけでなく、3-5杯はそのまま楽しめます。

香りが強すぎると感じたら、紅茶とブレンドすると飲みやすくなります。

お肌のトラブル対策に

ラベンダーの殺菌作用や皮膚の炎症を抑える効果を活かし、お肌のケアにも役立てましょう。

精油は成分が濃縮されているため、基本的には原液をそのまま使用することはできませんが、例外として真正ラベンダーは少量(1、2滴程度)であれば直接塗布できます。

綿棒などに原液を直接取り、ニキビや湿疹、虫刺され、かすり傷、軽度のやけどなどに塗ります。

手荒れや肌荒れには、ラベンダーオイルが使いやすくておススメです。

市販のものもありますが、簡単に手作りもできます。

細かく刻んだラベンダー(生でもドライでもOK)を入れた容器にオリーブオイルを入れ、オイルからラベンダーが出ないようにして漬け込みます。色が抜ければ出来上がりです。

気になるところにマッサージするようにすり込むと、効果が期待できます。 

ラベンダーの精油の禁忌(注意点)

真正ラベンダーは、使用方法や使用量を守れば禁忌は特にありません。

しかしながら、先に解説したとおり、ラベンダーにはさまざまな種類があります。

中には妊娠中の妊婦や、小さな子ども、高齢者の使用を避けるべきとされるものがありますので、必ずラベンダーの種類を確認し、記載されている用法を守るようにしてください。

ラベンダーの精油のおすすめと買える場所

安心してアロマテラピーを楽しむためには、良質なものを使うことが大切です。

購入時には産地や原材料、成分の表示を確認し、鮮度の良い精油を取り扱っているお店から購入するようにしましょう。

また、極端に安すぎるものは粗悪品やニセモノの可能性がありますので、注意が必要です。

おすすめの精油

おすすめのラベンダー精油を紹介します。

フレーバーライフ社【フレーバーライフ】ラベンダー・フランス

フレーバーライフ エッセンシャルオイルラベンダーフランス
フレーバーライフ エッセンシャルオイル
ラベンダーフランス

アロマテラピー専門メーカーが扱う精油。

フレーバーライフでは、良質な精油がリーズナブルな価格帯で販売されており、プロが使用する業務用として人気があります。

プロも愛用する本格仕様

3000社以上の利用実績あり
【公式HP】

生活の木「ラベンダー・フランス産(真正ラベンダー)精油」

日本のアロマテラピーの草分け的存在の老舗の精油。

国内外の提携農園(パートナーファーム)から厳選したオーガニックハーブや精油、植物油などを販売しています。

ブルーダルジャン農園「2021年アルジャン村産真正ラベンダー精油」

南フランスのヴェルドン自然公園内で無農薬栽培されている、ブルーダルジャン農園の真正ラベンダー精油。

大自然のエネルギー溢れる土地から生まれた、100%ピュアで純粋無垢な香りはパワーチャージにオススメです。

ラベンダーと文化

ラベンダーの語源は、ラテン語の「洗う」を意味するLavareです。

古代ローマ時代にはすでにそのリラックス効果や殺菌作用が知られ、沐浴や水浴、洗濯、傷口の殺菌などに用いられていました。

近代では、1910年に実験中に手にやけどを負ったフランス人化学者モーリス・ガットフォッセが、緊急処置としてラベンダー精油を患部に用いたところ、痛みが緩和しただけでなく、やけどの痕を早く治す治癒力を知ることとなり、その後彼によって、ラベンダーの効果効能についての研究が進みました(※6)。

フランス人医師ジャン・パルネは医療現場で本格的に精油を導入・実践した人物です。

抗生物質がまだ一般的でなかったころ、1950〜1953年に第一次インドシナ戦争時に軍医として従軍した際に、負傷した兵士の治療にラベンダーやティーツリーを用いました。

またラベンダーに含まれる「リナロール」には虫除けの効果も。

ヨーロッパでは、ラベンダーのサシェを衣服の保管の際にたんすや引き出しに入れる習慣があります。

ラベンダーは、近代アロマテラピーの発展に大きな役割を果たした精油であり、今でも研究が続けられ、さまざまな場面で活用されています。

ラベンダーの花言葉

ラベンダーには、たくさんの花言葉があります。

その中から代表的なものをご紹介します。

「沈黙」 

ラベンダーの効果効能である「精神安定効果」から付いた花言葉です。

沈黙というと、ネガティブな印象を持ちますが、落ち着きや安らぎの意味を表現しています。

「疑惑」 

不思議なほどに強い香りを持っていることに由来するといわれています。

「期待」「あなたを待っています」 

ラベンダーにまつわる伝説から生まれた花言葉です。

ある美少年に恋した内気な少女は告白もできずにひたすら待ち続け、最後には1輪の花になってしまったという話です。

「期待」もここに由来します。

「清潔」  

古代ローマ時代から洗濯に使ったり、沐浴や水浴に取り入れたりと、室内に下げて虫除けにしたりと、ラベンダーの薬効は人々の生活に取り入れられていました。

こうしたことに由来する花言葉です。

まとめ:万能のハーブ「ラベンダー」を暮らしに取り入れよう

アロマテラピーといえば、誰もが頭に浮かべるハーブ「ラベンダー」の香りや効果効能、使い方などについてくわしく解説しました。

代表的なハーブとなったのは、近代アロマテラピー発展の立役者であったことが挙げられます。

また、極度のストレス社会といわれる現代の人々の心を、自然の恵みを感じる優しく穏やかな香りで癒してくれているからに他なりません。

忙しい毎日だからこそ、ラベンダーの持つ癒しの効果効能を毎日の暮らしに取り入れたいものです。

ラベンダーに関するよくある質問

ラベンダーに関するよくある質問に回答します。

ラベンダーは虫除けに使えますか?

ラベンダーに含まれる「リナロール」にはリラックス効果とともに、「虫除け」の効果もあります。

市販されている虫除けの製品には、ラベンダーをはじめとするハーブから抽出したリナロールが配合されています。

古代ローマでは、虫除けのために部屋に吊り下げたといわれ、ヨーロッパでは今でも衣服の保管の際に、ラベンダーのサシェをたんすや引き出しに入れる習慣があります。

無水エタノールや精製水と精油でつくる虫除けスプレーが手軽です。

また、虫刺され後のケアにも効果があります。

もっと詳しく知りたい

参考文献・参考サイト

  1. 公共財団法人日本アロマ環境協会.“ラベンダー精油のストレス緩和作用”.2015 
  2. 厚生労働省.”生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット健康用語辞典”.2021
  3. 佐々木薫.”南仏プロヴァンス 真正ラベンダーの旅”.生活の木ライブラリー.2018
  4. 塩田清二.“アロマセラピーによる痛みの緩和“.住友化学園芸.
  5. ナード・アロマテラピー協会.”P1.ラベンダー・アングスティフォリア”.ケモタイプ精油辞典.2015
  6. https://ifaroma.org/ja_JP/home/explore_aromatherapy/what-is-aromatherapy/pioneers-of-aromatherapy
精油の香り・香気成分に関する記事
 

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