- アイリスがどんな香りか
- アイリスの効果効能
- アイリスのおすすめの精油
「アイリス」と聞いて、その香りを鮮明に思い浮かべられる人は、かなり少ないのではないでしょうか。
「イリス」「オリス」とも呼ばれるアイリスは、アヤメ科の総称です。
古風で日本的な印象のアヤメ、ショウブ、カキツバタなどもこの仲間です。
アイリスの精油は花ではなく、ニオイアヤメという種類の根から抽出します。
古代ギリシャやローマの時代から珍重されている歴史のある香料の一つであり、エレガントでパウダリーな香りは、シャネルやエルメスなどの高級香水にも用いられています。
この記事では、アイリスの香りや効果効能について、くわしく解説します。
高級ブランドをも魅了する香りの正体や効果効能を知れば、アイリスを見る目がきっと変わります。
ぜひ最後までお読みください。
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アイリスとは?
原料植物名 | アイリス |
別名 | イリス、オリス、オリス・オリスルート、ニオイアヤメ、ニオイイリス、シボリイリス、ムラサキイリス |
科名 | アヤメ 科 |
学名 | Iris pallida/Iris germanica/Iris florentina |
主な産地 | フランス、イタリア、地中海沿岸地方 |
主な抽出部位 | 根 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法、溶剤抽出法 |
成分例 | イロン、イオノン、アセトバリニなど |
アイリスの1種であるショウブは、日本の5月の端午の節句に欠かせない植物。
アヤメやカキツバタとともに青や紫、白など色とりどりの花を咲かせ、しっとりとした梅雨時期の日本庭園や植物園を美しく彩ります。
アイリスは約200種類ほどが存在し、園芸用や切り花として人気のあるジャーマンアイリスは、アヤメなどと比べると大ぶりな花をつけ、色も赤やピンク、黄色などバリエーションがあり、華やかな印象です。
たくさんの仲間がいるアイリスですが、この記事ではアロマの精油の主な原料となる品種を中心に、深掘りしてお伝えします。
「iris(アイリス)」という呼び名は、ギリシャ語の「虹(イリス)」に由来するとされています。
ギリシャ神話に登場する虹の女神の名前「イーリス」が地上に降りた際に、アイリスに姿を変えたからこの名がついたとか。
Irisは英語で発音するとアイリス、フランス語だとイリスとなります。
アロマの精油や香水などで「イリス」と表記されることが多いのは、ここに理由があります。
その香りはスミレに似た上品でフローラル系、また石鹸を思わせるような、パウダリーで清潔感のあるやわらかい香りが特徴。
揮発性が低いため香りに持続性があり、香料として高く評価されています。
香料の原料として栽培されているのは、地中海沿岸地方原産のニオイイリス(Iris.florentina)、シボリイリス(Iris.pallida)、ムラサキイリス(Iris.germanica)の3種で、これらの根から抽出します。
根なんだ!てっきり花から香りを抽出するんだと思ってた…
3年ほど生育したアイリスの根を収穫して洗浄・剥皮し、天日で乾燥させた後、さらに香気成分であるイロンの濃度を上げるために、木箱に入れて3年間ほど貯蔵すると、収穫時の青臭く土臭い馬鈴薯のような香りが、アイリス特有のスミレに似た香りに熟成されます。
これを粉砕したものから、溶剤抽出法または水蒸気蒸留法で精油を抽出します。
水蒸気蒸留法で抽出されたものは「イリスコンクリート」とよばれる、常温で固体の物質で、このコンクリートからアルカリを用いてミリスチン酸を取り除いたものを「イリスアブソリュート」といい、最も高価な香料の素材の一つです。
溶剤抽出法で得られる「イリスレジノイド」のほうが採油率が高いですが、香気については水蒸気蒸留法の方が優れています。(※1)
香りの成分であるイロンは、スミレ調の香りを表現する上で大変重要で、高級香水「シャネル№19」をはじめ、名香として知られる香水には欠かせません。
しかし現在では、フレグランス以外の製品には、この香りを表現するのに、廉価なヨノン(イオノン、Ionone)やメチルヨノン類が広く一般的に使用されるようになっています(※1)
また、化学の発展により、イロンは合成できるようになり、安価な香水には合成香料が使われています。
アイリスはどんな香り?
高級香水に欠かせないアイリスの香りは、いったいどんな香りでしょうか。
石鹸のような清潔感のある上品さと、フローラルな香りが特徴のアイリスですが、そのフローラルな部分は「スミレの香り」と表現されます。
それは、主な成分であるイロンが、スミレに最も含まれる成分「イオノン(Ionone)」と構造式がとても似ているから。
花の栽培がスタートしてから、香りの成分の抽出までにかかる長い時間と数々の工程、そして採油率の低さから「世界で最も高価な香料」とされていますが、それでも高級香水に欠かせないのは、唯一無二の魅力がある香りであることの証といえるでしょう。
アイリスの効果効能・生理・心理効果
次にアイリスの効果効能や生理効果、心理効果についてご紹介します。
効果効能
古代から香料として重用されてきたアイリスですが、最近の研究では、その成分に美白やエイジングケアへの効果が期待できることが分かっています。
2010年、カネボウ化粧品から「古代ギリシャの精油アイリスに高い抗酸化効果とメラニン生成抑制効果を発見」という発表がなされました。
また別の研究では、皮膚の表皮・真皮の機能低下を防ぐエイジングケア素材であることも報告されています(※2,3)
香りだけでなく、アイリスには女性にとって嬉しい効果効能も期待できる成分が含まれているのです。
心理効果
やわらかく上品なフローラルな香りの中に、温かみのあるウッディーさも感じさせるアイリスの香りは、心をリラックスさせてくれる鎮静効果が期待できます。
落ち着きのある香りは、イライラした気持ちを静め、安らぎや幸福感を与えてくれることでしょう。
生理効果
民間の伝統医学では、アイリスの香り成分は、呼吸器の不調を回復させるのに作用があるとして用いられてきました。
咳や気管支炎・痰を除去する効果や解毒、利尿の作用もあるとしていますが、アイリスの主な成分であるイロンやイオノンはケトン類に分類されるため、神経毒性や皮膚への刺激が懸念されます。
また、医学的に不明瞭な部分が多いため、香りを楽しむ目的で用いた方がよいでしょう。
アイリスの精油と使い方
アイリスの精油自体が稀少で高価なので、アロマテラピーとしての取りいれるよりは、手作り石鹸やアロマキャンドルなどに香料として、ごく少量使用するほうが現実的でしょう。
ここでは、アイリスの香りの取り入れ方についてご紹介します。
心を癒したいとき
やわらかで温かみのあるフローラルな香りは、心に癒しをもたらしてくれます。
高価な精油なので、他の精油とブレンドしてみるのもおススメ。
相性が良いのは柑橘系やフローラル系です。
リラックス効果が高いラベンダーと合わせれば、より一層癒しの効果を感じられることでしょう。
甘さやパウダリーさが気になる場合は、スパイスやウッディー系の香りと組み合わせるとバランスがよくなります。
ブレンドした精油は、アロマディフューザーやアロマスプレー、芳香浴などで気軽に楽しむことができます。
気分をあげたいとき
高級ブランドがこぞってフレグランスに用いるアイリスの香り。
その香りの魅力を堪能するなら、香水を暮らしに取り入れてみるのもいいでしょう。
フローラルで上品な香り、パウダリーな石鹸を思わせる、さわやかでやわらかな香りは、男女問わず好ましく感じる香りです。
男性用のフレグランスや女性用でもユニセックスで使える商品もあります。
どのフレグランスでも、アイリスのパウダリーで上品な香りが、重要な役割を果たしていることを感じるでしょう。
洗練された大人の女性や男性を演出したいとき、気分をワンランク上にあげたいときにおススメです。
アイリスの精油の禁忌(注意点)
高濃度で、刺激のある物質が含まれているため、希釈せずに肌に直接付けるのは厳禁です。
長時間の使用も避けます。
妊娠中や授乳中の方、小さなお子さまへの使用もやめましょう。
スキンケアに取り入れたい場合は、アイリスの抽出成分を配合している商品を購入する方法が無難です。
アイリスの精油のおすすめと買える場所
アイリスの精油はその希少性から、非常に手に入りづらくなっています。
フレーバーライフや生活の木のような老舗ブランドでも取り扱いがありません。
ここでは、適正価格で販売している、信頼できるお店をいくつか紹介します。
パフューマーハウス【イリス10%】
パヒューマーハウス(PERFUMER HOUSE)は、調香師が厳選した天然精油・エッセンシャルオイルをフランスから直輸入して販売するショップ。
イリスのような希少価値の高いレアな精油も扱っています。
PERFUMER HOUSE公式サイトを今すぐ見るMedical Modern Perfume Factory 【イリス/Iris NO.001004】
Medical Modern Perfume Factory は、化粧品や医薬部外品の製品製造が小ロットから製造可能なOEM/ODMメーカー。
高品質で付加価値の高いモノづくりを目指しています。
アイリスと文化
エレガントな香りで、古代から香水に重用されているアイリス。
ヨーロッパを中心に、その美しい花の形をモチーフにした紋章や旗が、何世紀にもわたって数多く見られます。
「フルール・ド・リス(fleur-de-lis)」と呼ばれるそのモチーフは、一般的に「ユリの紋章」といわれていますが、実はアイリスの花を図案化したものです。
歴史的にはフランス王家とつながりが深く、ブルボン家の一員であるスペイン王家では、今でも紋章のモチーフに「フルール・ド・リス」が使われています。
この紋章がなぜ「ユリ」呼ばれるのかは諸説あります。
一説には、フランス語でアイリスは「イリス」、ユリは「リス」といい、当初は呼び分けられていたものが、後世にリスと混同され「 フルール・ド・リス 」と呼ばれたとか。
フランスが王政だったころ、王が即位する際に紋章として図案化して用いたのが最初と伝えられています。
民主化されて国旗がトリコロールに代わる前は、「フルール・ド・リス」がフランスの国旗でした。
現在でも、このモチーフは人々に愛され、企業のマークや紋章、アクセサリーやテキスタイルなど、さまざまな分野でデザインとして取り入れられています。
アイリスの花言葉
アイリス(アヤメ)の花言葉は「希望」「メッセージ」「よい便り」です。
「メッセージ」「よい便り」の花言葉は、ギリシャ神話でゼウスの妻ヘラの伝令役を務めた、虹の女神イリス(Iris)に由来するものとされています。
花の種類や色による花言葉をご紹介します。
- ニオイアヤメ 「恋人」「情熱」
- ジャーマンアイリス 「情熱」「燃える思い」「恋の便り」
- ダッチアイリス 「吉報」「和解」
- ハナショウブ 「嬉しい知らせ」「優しさ」「優雅」
- カキツバタ 「幸せは必ず来る」
- 白色のアイリス 「純粋」「思いやり」「あなたを大切にします」
- 青色のアイリス 「強い希望」「信念」「大きな志」
- 紫のアイリス 「雄弁」「知恵」
前向きな花言葉が多いアイリスですが、黄色のアイリスだけは「復讐」という花言葉を持っています。
贈り物にするときには色に気を付けましょう。
まとめ:アイリスの香りの特別感を暮らしに
アイリスの香りや効果効能などについて、くわしく解説してきました。
古代ギリシャ時代から貴重な香料として、そして中世では王家の紋章のモチーフとして重用されてきたアイリス。
その長い歴史と文化的な関わりをひも解くと、アイリスが人々を魅了してやまなかったことが伝わってきます。
高価で希少性の高い精油のため、アロマとして生活に取り入れることはなかなか難しいですが、アイリスがブレンドされている精油やフレグランスなら、気軽に香りを楽しめるでしょう。
スミレのようにフローラルで、石鹸のような清潔感のあるパウダリー感があり、木を思わせるような温かみのあるウッディーのニュアンスもある香り。
高級ブランドが惚れ込んだ香りのチカラを、特別な時間やシチュエーションで取り入れてみてくださいね。
アイリスに関するよくある質問
アイリスに関するよくある質問を解説します。
- アイリスの香りの特徴は?
-
スミレのようなフローラルさ、石鹸のようなパウダリーさ、木の温かみのようなウッディーさをあわせ持つ香りのアイリス。その歴史は古く、古代ギリシャから貴重な香料として用いられていたようです。シャネル№19をはじめ、エルメスやプラダ、ブルガリなどの「名香」と評されるフレグランスに欠かせない存在。アイリスの香りにどれだけ魅力があるのか、ここからうかがい知ることができます。フレグランスやアロマでは、フランス語読みの「イリス」と表記されることが多いです。
希少性が高く高価な精油なので、アロマで取り入れるよりは、他の精油とブレンドしたオイルや、アイリスを使ったフレグランスなどで香りを楽しむのがよいでしょう。香りにはストレスを解消したり、緊張感をほぐしたり、沈んだ心を高揚させ幸福感を抱かせたりと、心に良い効果効能が期待できます。
参考文献
- 大森祥弘.”化粧品用語集「イリス油」”.日本化粧品技術者会
- カネボウ化粧品.”古代ギリシャの精油「アイリス」に高い抗酸化効果とメラニン生成抑制効果を発見”.2010
- 一般社団法人日本スキンケア協会.”表皮・真皮の機能低下を防ぐエイジングケア素材「イリス根エキス」.2018
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